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2008年12月 アーカイブ

2008年12月20日

インターンシップ:臨床栄養 – ニューヨーク市立病院

 インターンシップについて長らく更新をしていませんでした、すみません。長期施設でのインターンが終了したのが10月末、数週間後にニューヨーク市立病院でのインターンが6週間始まりました。場所はマンハッタン地区の北にあるブロンクス地区にあり、家からは一時間半近くかかる、トラウマ(外傷)、火傷治療で有名な病院です。

 この病院には9人の登録栄養士が勤務していて、ベッド数が600程の施設に9人はとても多い方です。私はその内の8人と一緒に働きました。最初の数週間は癌病棟、リハビリ専門病棟、外科で働きました。後半は小児科、集中治療室、心臓系集中治療室、火傷・トラウマ病棟で働きました。

 前半はいろいろな病棟を廻りながらも癌病棟に長くいました。というのは学校に提出するケーススタディ(事例研究)に選んだ患者が胃癌患者だったからです。

 私の患者さん、Ms. Oさんは胃癌が肝臓に転移し、外来で化学治療を行っていましたが、腎臓機能障害を起こしたため、入院をしてきました。このケースはとても複雑で、結構大変でした。

 入院した最初の数日は、食欲はないとは言いながらも一食70%程食べることができていたのですが、5日目に突然血圧が下がり、ラボデーターの結果も危険な状態を示し、昏睡状態になってしまい、重症敗血症と診断され集中治療室に移されました。

 それまではたんぱく質60g、食塩2g、カリウム2g、1800キロカロリーの食事を提供していましたが、集中治療室では「Suplena」という低タンパク質、低ナトリウム/カリウム、高ビタミンB6/葉酸、高カロリー(1.8Kcal/mL)の栄養剤をorogastric tube経口経管栄養法で1時間に30mLを18時間続けました。どうなるかと思いましたが、Oさんの回復はとても早く10日後に癌病棟に戻ってきました。

 癌病棟に戻ってきてから経口栄養が始まりました。普通食は10日間咀嚼をしてないので良く噛まないと内臓に負担がかかることなどからたんぱく質60g、食塩2g、カリウム2g、1800キロカロリーのピュレ状の食事をオーダーしました。食事プラス1日3回のSuplena(栄養剤)はそのまま継続されました。
入院中に3サイクルの化学治療も行う予定でしたが、クレアチン値の上昇やAnuric Renal Failure (無尿症腎臓障害)などが理由でキャンセルになりました。

 Oさんは高リスク患者だったので、アセスメントは3日に一度行わなければなりませんでした。しかし私はほぼ毎日様子を見に行きました、というのはOさんの食事摂取量がどんどん減っていき、声もか細くなり、心配だったからです。ある日、Oさんの唇が荒れて血の塊が唇中に広がっていました。痛いのでピュレ状でも食べ物が食べられない、ジュースやぬるいスープだったら食べられるというので、Clear Liquid Dietへの変更を考えました。その時点でOさんの食事摂取量は10%以下:朝食に1/2カップのシリアルに牛乳、昼はジンジャーエールのみ。私の指導者のダイエティシャンに話すと「リキッドダイエットでもね~、カロリー摂取がかなり減っちゃうから」との返答。現在のダイエットオーダーでも10%以下しか摂取していないのだからカロリー摂取が減っても現在の摂取量よりは多いのでそのことを伝えると、「医者にオーダーを出しておく」とのこと。ダイエットオーダーだけではなく、体重計測(入院数日後に測ったのが最後)、カロリーカウントをナースにオーダーをしてほしいとも指導者にお願いをしていました。

 結局まったくドクターやナースに話をつけてくれないため、学校の先生にインターンの私が直接ドクターやナースに話しをつけていいのか確認をし、ダイエティシャンが何もしないのだったら私が行くしかないといわれたので、早速担当のドクターとナースに話しをしに行きました。

 まずは体重を測ってもらいました。摂取量も少なく、顔と上半身はどんどん筋肉が落ちていき、やつれているので、体重は減っているだろうと思いましたが、入院当初から20キロも増えていました。下半身の浮腫が原因でした。利尿剤のLasixを使ってから浮腫がなくなった後の体重は入院当初より15キロ落ちていました。

 結局新しいダイエットオーダーとカロリーカウントが始まる前にホスピスに移されてしまいました。しかし数日後に容態が悪くなり戻ってきたOさん、現在は経鼻経管栄養法を続けています。

 正直、この病院でいろんなことを学べたのは一人のダイエティシャンからです。癌病棟担当のダイエティシャンは正直どうでもよいといった感じが伝わってきました。市立の病院ではよくあることだと聞きましたが、呆れてしまいました。

 私事ですが、先日無事に修士課程を終えました。本当に大変でしたが、多くの方々に励まされ、がんばれることができました。本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願い致します。

*写真はOさんに使用した栄養剤「Suplena」と経腸栄養チューブ。ぶれてしまってごめんなさい。

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2008年12月21日

インターンシップ:臨床栄養 ~小児病棟~

 市立病院でのインターンシップの続きです。12月に入ってからは小児病棟、緊急治療室、火傷・創傷病棟で働きました。

 今回、小児病棟で私が担当した患者は軽い火傷の3歳の女の子、慢性腹痛を持つ8歳の男の子、ウイルス性の下痢が原因で入院している2歳の男の子、そして肥満症・高血圧の13歳の女の子でした。

 お母さん達が栄養教育にとても熱心なことに驚きました。子供の便秘を改善したい、好き嫌いを直したい、ヘルシースナックについてなど、多くの質問をしてくれました。

 大変だったのは下痢の止まらない2歳の男の子、食べるとすぐに下痢、ひどい時には吐いてしまい、もともと低体重の子供だったので、とても心配でした。栄養剤を入れても下痢で出てしまうのは確実だったので、少量の薬を使いながら、ゆっくりと食事を少しずつ食べさせることを続けて2日目容態が回復しました。

 慢性腹痛が原因で入院していた8歳の男の子とよく話す機会があったのですが、8歳にしてはとてもしっかりしていて、自分が過体重であることを理解して、どのように改善するかなども私に説明してくれました。彼の腹痛の原因は不明で、シャワーや熱いお風呂に入ると痛みが出るという不思議なもの。担当のドクターも原因を判明するのに困っていました。しかしとても食欲があり、嘔吐、吐き気、下痢、便秘など何も問題がなかったので、彼のダイエットオーダーにはあまり時間がかかりませんでした。

 食事改善が困難だったのは13歳の身長155㎝、体重160㎏の女の子。高血圧、肥満症で入退院を繰り返しています。痩せたいけれど、運動は嫌い。食べ物も何が健康的かわかっているけれど変えられない。私にとってはとてもよいクライアントになりそうな患者でした。もう少し時間があればもっとカウンセリングができたのにと残念に思いました。

 小児病棟には学童児も多く入院しているので、入院中に学校の授業が遅れないように、容態の安定した子供達には一人ひとりソーシャルワーカーと先生が付き、勉強する時間が定められています。

 小児病棟のカルテを見ていて驚いたのは喘息を持つ子供が多いこと。病院のあるブロンクス地区は全米で一番喘息を持つ子供が多い地域なのです。家庭内の衛生が悪いのか、この地区にある工場の汚染のせいか、原因は様々だと思いますが、全米一とは驚きました。

 小児病棟は楽しかったのですが、責任感を他の病棟にいるときより感じました。というのは親達とのコミュニケーションがとても重要だからです。子供を心配する親御さんの気持ちを理解しなくてはならない、きちんとわかりやすく説明をする、落ち着かせるように心配をさせないように接しなくてはならないなど、いろいろ勉強になり、よい経験でした。

*写真は子供用の栄養剤です。
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2008年12月30日

インターンシップ:臨床栄養

 インターンシップは無事に先週終わりましたが、緊急治療室、火傷・創傷病棟でのインターンについてご紹介します。

 スーパーバイザーのダイエティシャン(Cさん)は経腸/経静脈栄養の専門で20年近くこの病院に勤務しているベテランです。数年前まではプリセプターでした。5週間ほど、Cさんは厳しくて難しい人という噂をずっと耳にしてきたのですが、私はCさんと働けるのを楽しみにしていました。

 1日3~4人の経静脈栄養患者をアセスメントしました。とにかく計算、計算、経静脈栄養法の計算も慣れるまで結構大変で朝から夕方まで計算機とともに過ごしていました。

 Cさんは厳しいのですが、とても温かい心を持った方で、一生懸命に指導をしてくれました。患者との接し方、カルテの読み方、血液検査結果から栄養問題の記述の仕方など、基礎からもう一度教え直してくれました。とにかく多くの質問をされ、冷や汗が出ることも多々ありましたが、答えられなければ親切に教えてくれ、答えられれば褒めてくれるなど、とてもはっきりしていて気持ちがよかったです。

 1週間の内新しく火傷が原因で入院してきた患者さんは1人でした。体の10%の火傷でしたが、薬のせいもあり、嘔吐と吐き気でまったく食べ物を食べられない状態でした。火傷以外は異常がなかったので、まずは薬を調整しながら口から物を食べられるように患者さんを励ますように薦められました。しかし食べられない状態が続くようであれば経腸栄養法も次の手段として入れました。火傷患者の場合、たんぱく質、水分、ミネラル、ビタミンを増やします。しかし、食欲がない患者さんがほとんどなので、少しでも治癒を早めるにはサプリメントが必要になってきます。しかし、この患者さんの場合は痛み止めを減らすと嘔吐がなくなり、吐き気だけになり、患者さんのお母様が作ってきた家庭料理を食べ始められたので、ダイエットオーダーに重要視するのではなく、患者さんの容態を気をつけて診ることがとても大切でした。

 私がみたほとんどの患者さんは糖尿病持ち、カルシウム不足でした。経静脈栄養投与の際にレギュラーインスリン、カルシウムも追加することを欠かせませんでした。

 Cさんはお医者さんからも慕われていて、特に多くの研修医がCさんに経静脈栄養について質問をしているのをみました。Cさんと医者、看護婦のコミュニケーションがしっかり取れていて、本当の医療現場を見ることができて嬉しかったです。

 一ヶ月くらいCさんに指導をしてもらえればよかったのですが、一週間でも多くを学べました。Cさんのアセスメントは他のダイエティシャンよりも時間はかかりましたが、それが本当のアセスメントであり、患者さん、他の医療関係の人から信頼を受けているのをみて、私もCさんのようなダイエティシャンになりたいとつくづく思いました。

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