インターンシップ:臨床栄養 – ニューヨーク市立病院
インターンシップについて長らく更新をしていませんでした、すみません。長期施設でのインターンが終了したのが10月末、数週間後にニューヨーク市立病院でのインターンが6週間始まりました。場所はマンハッタン地区の北にあるブロンクス地区にあり、家からは一時間半近くかかる、トラウマ(外傷)、火傷治療で有名な病院です。
この病院には9人の登録栄養士が勤務していて、ベッド数が600程の施設に9人はとても多い方です。私はその内の8人と一緒に働きました。最初の数週間は癌病棟、リハビリ専門病棟、外科で働きました。後半は小児科、集中治療室、心臓系集中治療室、火傷・トラウマ病棟で働きました。
前半はいろいろな病棟を廻りながらも癌病棟に長くいました。というのは学校に提出するケーススタディ(事例研究)に選んだ患者が胃癌患者だったからです。
私の患者さん、Ms. Oさんは胃癌が肝臓に転移し、外来で化学治療を行っていましたが、腎臓機能障害を起こしたため、入院をしてきました。このケースはとても複雑で、結構大変でした。
入院した最初の数日は、食欲はないとは言いながらも一食70%程食べることができていたのですが、5日目に突然血圧が下がり、ラボデーターの結果も危険な状態を示し、昏睡状態になってしまい、重症敗血症と診断され集中治療室に移されました。
それまではたんぱく質60g、食塩2g、カリウム2g、1800キロカロリーの食事を提供していましたが、集中治療室では「Suplena」という低タンパク質、低ナトリウム/カリウム、高ビタミンB6/葉酸、高カロリー(1.8Kcal/mL)の栄養剤をorogastric tube経口経管栄養法で1時間に30mLを18時間続けました。どうなるかと思いましたが、Oさんの回復はとても早く10日後に癌病棟に戻ってきました。
癌病棟に戻ってきてから経口栄養が始まりました。普通食は10日間咀嚼をしてないので良く噛まないと内臓に負担がかかることなどからたんぱく質60g、食塩2g、カリウム2g、1800キロカロリーのピュレ状の食事をオーダーしました。食事プラス1日3回のSuplena(栄養剤)はそのまま継続されました。
入院中に3サイクルの化学治療も行う予定でしたが、クレアチン値の上昇やAnuric Renal Failure (無尿症腎臓障害)などが理由でキャンセルになりました。
Oさんは高リスク患者だったので、アセスメントは3日に一度行わなければなりませんでした。しかし私はほぼ毎日様子を見に行きました、というのはOさんの食事摂取量がどんどん減っていき、声もか細くなり、心配だったからです。ある日、Oさんの唇が荒れて血の塊が唇中に広がっていました。痛いのでピュレ状でも食べ物が食べられない、ジュースやぬるいスープだったら食べられるというので、Clear Liquid Dietへの変更を考えました。その時点でOさんの食事摂取量は10%以下:朝食に1/2カップのシリアルに牛乳、昼はジンジャーエールのみ。私の指導者のダイエティシャンに話すと「リキッドダイエットでもね~、カロリー摂取がかなり減っちゃうから」との返答。現在のダイエットオーダーでも10%以下しか摂取していないのだからカロリー摂取が減っても現在の摂取量よりは多いのでそのことを伝えると、「医者にオーダーを出しておく」とのこと。ダイエットオーダーだけではなく、体重計測(入院数日後に測ったのが最後)、カロリーカウントをナースにオーダーをしてほしいとも指導者にお願いをしていました。
結局まったくドクターやナースに話をつけてくれないため、学校の先生にインターンの私が直接ドクターやナースに話しをつけていいのか確認をし、ダイエティシャンが何もしないのだったら私が行くしかないといわれたので、早速担当のドクターとナースに話しをしに行きました。
まずは体重を測ってもらいました。摂取量も少なく、顔と上半身はどんどん筋肉が落ちていき、やつれているので、体重は減っているだろうと思いましたが、入院当初から20キロも増えていました。下半身の浮腫が原因でした。利尿剤のLasixを使ってから浮腫がなくなった後の体重は入院当初より15キロ落ちていました。
結局新しいダイエットオーダーとカロリーカウントが始まる前にホスピスに移されてしまいました。しかし数日後に容態が悪くなり戻ってきたOさん、現在は経鼻経管栄養法を続けています。
正直、この病院でいろんなことを学べたのは一人のダイエティシャンからです。癌病棟担当のダイエティシャンは正直どうでもよいといった感じが伝わってきました。市立の病院ではよくあることだと聞きましたが、呆れてしまいました。
私事ですが、先日無事に修士課程を終えました。本当に大変でしたが、多くの方々に励まされ、がんばれることができました。本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願い致します。
*写真はOさんに使用した栄養剤「Suplena」と経腸栄養チューブ。ぶれてしまってごめんなさい。


