前にもちょっと触れた、肥満研究第9巻(2001)に掲載されたフリードマンらによる「ポピュラー・ダイエットの科学的総説」(Obes. Res., 9:Suppl.1, 1s-40s (2001))に載っている極めて信憑性の高い(カテゴリA)エビデンス(証拠)を以下に列挙する。ただし、米国農務省の研究所の研究者が米国で一般に普及しているダイエットについて研究したものなので、「米国民に対して」信憑性が高いといっているに過ぎないことは、忘れないようにしなければならない。
曰く、体重が減少するかどうかを決めるものは、主として摂取エネルギーの多い少ないである。少ないエネルギーを摂れば、体重は減少する。運動を全くしない場合、減量に最適なエネルギーは三大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)の比にかかわらず、1日当り1,400~1,500キロカロリーである。(カテゴリA)
曰く、中程度の脂肪エネルギー比で平均的にカロリーを減らすダイエットを行う過体重のヒトは、体重が減少する。なぜなら摂取カロリーが少なくなるからである。この種のダイエットは自由摂取でも体重減少を起こす。(カテゴリA)
曰く、全ての低カロリーダイエットは体重減少と体脂肪の減少を起こす。三大栄養素の組成は主要な役割を担っていないように見える。(カテゴリA)
曰く、代謝的な異常はエネルギー制限と体重減少によって修復される。(エビデンスA)
曰く、中程度の脂肪エネルギー比で平均的にカロリーを減らすダイエットは、LDL-コレステロールを減らし、HDL/トータル-コレステロール比を正常化する。血漿中性脂肪も正常化する。(カテゴリA)
曰く、低カロリーダイエット(一日1,000-1,200キロカロリー)は総体重を3-12ヶ月で平均8%減らすことができる。(カテゴリA)
曰く、特にカロリー制限のない、「脂肪摂取制限」ダイエットは、制限摂取カロリー状態を作り出すことで体重減少を生み出す助けになるけれども、カロリー制限を伴う「脂肪摂取制限」ダイエットは、より大きな体重減少を達成する。(カテゴリA)
曰く、中程度の脂肪エネルギー比で平均的にカロリーを減らすダイエットは、血圧を低下させる。(カテゴリA)
曰く、低脂肪、高炭水化物を摂取する過体重のヒトは、カロリー摂取がより少なくなり、体重が減少し、体脂肪も減る。(カテゴリA)
これらのエビデンスから、直ちにわかることは、カロリー摂取が少なければやせる、ということだろう。脂質でも炭水化物でもたんぱく質でも、とにかくトータルで少なくなればやせるというわけだ。栄養士的な見解として(私自身は栄養士ではない)、それぞれのバランスを崩すということは栄養学的に極めて危険だ、というものがある。ただ、それを証明した論文は、あまりないようだ。栄養士からは親の敵のように見られているアトキンス・ダイエットでさえ、それをやってなんらかの不具合が観察されたという報告はない。もともと腎臓の悪いヒトにはよくない、という報告はあるが。
人間の歴史的な流れとして、バランスのとれた食事が定期的に摂れるようになったのは、たかだか数千年のことに過ぎないとすれば、それ以前の人間がバランスの悪い極端な食事でも何とか生きてきたという事実がある。現代でも、インスタントラーメンばかりで健康に悪いと思いながら、別に病院に行くわけでもない大学生がたくさんいる。
でも、寿命は縮まっているかもしれないけどね。
最初に書いたように、上のエビデンス群は日本人にはまったく当てはまらない可能性もあるので、悪しからず。
最後に一言。
どんな食事でも人間はする権利があるし、それで不健康になることをとめる権利も他人にはない(ただし保護者にはあるだろう)。わたしたちは、こんな生活を続けたら寿命が縮まるのじゃないかと不安を覚えたヒトに、適切な情報を提供することしかできないし、すべきでもないのではないか。これがリンクDEダイエットの「オ・キ・テ」です。
コメント (1)
「バランスのとれた食事が定期的に摂れるようになったのは、たかだか数千年のことに過ぎない」←数千年どころか、この100年くらいではないでしょうか?
いまだにそんなこと考えられないという環境もありえるのでは。
昔読んだ宮沢賢治の伝記に、「ナスの漬物1本をおかずに、家族全員がご飯を食べる」という農家の少年がでてきて、そんなところに生まれなくて良かったなーとつくづく思った記憶があります。
お題とカンケーなくてすみません。
投稿者: はむすけ | 2003年10月27日 11:42
日時: 2003年10月27日 11:42