許せよ、さらば救われん
メドラインプラスの記事によれば、許すことは本人の健康に良いそうだ。
少し前には、性急、短気、敵意が高血圧になる危険因子だという記事もあった。
気分の落ち込みで免疫力が低下というのもあった。
とりあえず、本人の脳神経系の活動が実際にあるわけで、神経の活動というのは、純粋に電気的なもののように多くの人は思っているかもしれないが、神経末端では、エピネフリンやアセチルコリンのような化学物質が放出されることで、実際の変化が起こるのである。こういう化学物質による情報伝達は、男性になるために精巣から放出される性ホルモンや大きくなるために視床下部から放出される成長ホルモンとなんの違いもない。俗に火事場のクソ力といわれるものは、副腎髄質から放出されるエピネフリンそのものである(関係ないが、タバコに含まれるニコチンは、アセチルコリンの働きを邪魔する作用がある)。
このように考えていけば、気分が体調を左右するということに謎はない。ただ、その仕組みがよくわかっていないだけだ。
でも祈りに効果がないというBBCのニュースは、まったくのナンセンスである。
スピリチュアルヒーリングがどうこういうのもまったくのナンセンスだ。この日本語解説を書かれた先生は、栄養疫学の分野では有名な方だが、ご自身の著書で、RCTによる祈りの効果の実験に、一定の評価を与えておられる。単にウケを狙ったパフォーマンスなのだろうか。
わたしの見解は以前にこのblogに書いた。
代替医療には漢方やアーユルヴェーダ、西欧のハーブなども含まれるので、意味があるとは思うが、どうして手かざし療法や祈りにいってしまうのかは、よく理解できない部分がある。
今の医学を補うものとして宗教が入り込むのは、ある種の余裕とも考えられる。昔と違って、現代医学は、決して占星術やもっと純粋な宗教にさえも侵される危険がないほど確立している。征服者が被征服者を取り込もうとするのは自然の掟というわけだ。
でも、それは思い上がりというものだろう。EBMなんてお題目を唱えなければならない程度の医学に、宗教を取り込めるほどのふところがあるとは思えない。征服といってもせいぜい反乱民を鎮圧した坂上田村麻呂ではないか。
それにしても、いちばんやるせない(許せないではない)のは、そういう論文を採用してしまう編集者、査読者たちの存在だ。もちろんホメオパシーだって、種の中の遠隔作用(遠くでネズミがある行為をなしとげると、同じ種のネズミは世界中どこにいても、以後その行為を以前より達成しやすくなる)だって、ユリゲラーだって、一応真面目に考える必要はある(それが科学だ)が、それをしてはいけない領域はあるだろう。そうでなければ、クローン人間に反対する理由はどこにもなくなってしまう。
違うだろうか?