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2005年12月 アーカイブ

2005年12月02日

フレイレとエンパワメント



28日の日記には、フレイレの方法論がプライドを傷つける、みたいな記述があるが、糖尿病患者への栄養教育として確立されたエンパワメントとごっちゃになっているところがあって誤解を受けるかもしれないので、もう少し書いておく。


傾聴されたり、患者の意思が常に尊重されるという言い方をエンパワメントではするが、フレイレの本では、前者はあくまで「対話」だし、後者も「生成テーマ」(に対応すると思うが、間違っていたら教えて下さい)ということであって、どちらも一言で言い表せない微妙な概念だ(単純化されることが悪いとまではここでは言わない)。


だから、両者を混同するのは、本当は間違いなのかもしれない。エンパワメントの教科書にも、フレイレが始祖だと書いてあるものはあまりないように思う。その辺りのことは、わたしは素人同然なので、自重しないといけないと感じる。告白すると、ある看護師が書いた、糖尿病教育にエンパワメントを取り入れた本の注釈で見ただけなのである(しかも、その本はエンパワメント以外のものも取り入れた、大変実用的な本であって、理論の本ではない)。


もっとも、フレイレを読むことで、エンパワメントに感じていた少しばかり偽善的な感じが払拭されたのだから、その誤解は正解だったのだけれど。


教育者とソーシャルワーカーと、医師と栄養士と看護師。教育のことをもっとも理解しているのは、やはり教育者だろう。理解という言い方が良くなければ、その分野においてもっとも遺漏や錯誤が少ないヒトと言ってもよい。


エンパワメントという用語自体、フレイレとは関係がないのだから、フレイレにしたらいい迷惑かもしれない。ひたすら、実用書(失礼)に真理を求めたわたしが悪い、ということになる。


2005年12月03日

クルクミンと肝障害



医薬品の相互作用にはそれなりの歴史があるが、健康食品には、相互作用はおろか、有効性や安全性の歴史さえ、あまりないというのが現時点での真実である。


もちろん、死亡事故が起こったりしている商品の中には、違法な医薬品が添加されている場合がいくつもある(最近では天々素など)というのは事実だが、それがすべてというわけでもない。


相互作用で有名なのは、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)による薬物代謝酵素の活性化だろう。薬物代謝酵素は、薬物の作用を強めたり弱めたりいろいろなので、問題を起こしやすいのである。


クランベリーもわりと欧米ではニュースになりやすい健康食品だ。それほど人気の高い商品というか、日本人にとってのウーロン茶のような感覚なのかもしれない。それにしても、クランベリージュースしか飲まないというのが、日本人の感覚からするとまず驚きだと思うのだが、案の定それでもともとからだの悪かったヒトが死亡する事故も起きている。


だが、クルクミンの場合は、複数の例があるし、そもそもクランベリージュースのようにクルクミンを服用する(ウコンだけしか食べないって?)とは考えにくいので、どうして事故が起こるのかが見えにくい。


基本的には(というなら、クランベリージュースだってそうだが)、クルクミンはカレー粉に含まれているわけだし、良い効果がいくつも報告されている。それに二日酔いに効くと聞いても危険なほどに飲むヒトがいるとは考えにくい。


とすると、ひょっとして、この二日酔いの防止ということが鍵なのではないか、と思えてくる。


つまり、二日酔いを防ぐために飲むヒトは、その前か後にかならず飲酒しているはずなのだ。肝臓の機能に負荷がかかっている状況では、ひょっとすると、クルクミンは悪い影響を及ぼすのではないかという推測がむくむくと頭をもたげてくるが、このあたりは単なる想像なので、あとは読者諸兄の判断を仰ぎたい。


2005年12月05日

ちょっとだけ飲むヒトは太らない?



そいういう論文が出たりする。


論文だから信頼性は低くはない。


とはいえ。


ちょっとだけ、というのがキーワードになる化学物質はそんなには知られていない。少なければ少ないほうがより良いように見えるとしたら、まるでホメオパシーじゃないか?


だれもが知りたいだろうと思うのは、一週間24x7時間のうちに、何gのアルコールが閾値になるのかということだろう。


アルコールの摂取量との因果関係があるのならば、これは算出可能な量である。


出せないならば、真実の関係はアルコール以外のところにあるということだと思う。


2005年12月06日

ちょっとだけワインを飲むと心臓病にならない?



表題は、栄養学では有名な話だが、これも昨日の太らないというのと同じで、ちょっとの範囲が不明確だし、用量作用曲線の一般的な考え方に反する。


と、思っていたら、Lancetに載ったコメントが、まさにその通りのことを言っていた。


アルコールは血管をきれいにもするし、心臓病のリスクを下げもする。だからアル中で死んだ人の血管は意外に詰まってないのだというようなことが書かれている。


しかも、そういうアルコールの効果は、やっぱり小量ではわずかなのだそうだ。


当該記事はコメントなのだが、その前提には最近明らかになったいくつかの研究結果がある(詳細はリンク先の論文の引用文献を参照のこと)。だから単なる夢想という訳ではないのはもちろんだ。


でも、だからといって積極的に飲酒を勧めるのはお調子者の誹りを免れまい。コーヒーだってそう安易には勧められない御時世なのだから。


結局一、二杯ならという結論に落ち着くことになるわけだが、そこにはあの不可思議な2次曲線の底は存在しない。一、二杯で健康に良いというなら、四、五杯だって同様に健康に良いのではないかと、酒飲みの常としていつも心にひっかかっていた疑問が解けて、これで安心して今夜からまたいくらでも飲める(飲んで良い)と言いたいところだが、もちろん健康という人生そのものと同義なくらい多様な概念の一部にとっては良いというだけの事で、酔っ払って泥酔したり二日酔いになったりして、健康に良いといえるはずもない。


くれぐれも飲みすぎにはご注意を。


2005年12月07日

だーいすきなのはー、ひーまわりのたねー



ナッツや種子に血清コレステロール値を下げる働きがあることは知られていたけれど、このたび農芸・食品化学雑誌に掲載された論文によると、なかでもとりわけ効果的なのは、ひまわりの種とピスタチオだということである。


でも、日本人はひまわりの種はあまり食べないよなあ。ピスタチオも高いし……ぶつぶつ


2005年12月08日

ヒトを幸福にしないプリンというシステム



もちろん、幸不幸というものは、個人々々の考え方に左右されるから、幸福にしないと断言はできない。


しかし、臨床内分泌学代謝学雑誌の90巻9号に掲載された。コレラ(Corella)らによる「ペリリピン・ローカスに11482G>Aポリモルフィズムを有する肥満者は食事エネルギー制限による体重減少に抵抗性がある」(Corella D, Qi L, Sorli JV, Godoy D, Portolés O, Coltell O, Greenberg AS, Ordovas JM. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 2005; 90(9): 5121-5126. "Obese Subjects Carrying the 11482G>A Polymorphism at the Perilipin Locus Are Resistant to Weight Loss after Dietary Energy Restriction." )という論文は、一部の太るのが嫌いな女性にとって(日本では多くの女性がそうだと思う)の死刑宣告のようなものだ。


まあ、考え方しだいなのだけれど。


論文は、遺伝子の変異を持つヒトが、エネルギーを制限した食事を続けても、まったくと言っていいほど体重が減少しなかったという結果を示している。このG>Aの変異がないヒト、つまりGのままのヒトでは七キロほども体重が減少するほどのエネルギー制限だというのに、である。


ただし、この遺伝子は、食事による体重変化に抵抗するものなので、太っていないヒトならば、逆に安心できるという要素もある。つまり、食事だけではなかなか太れないのだ。


といっても、論文に出てくる患者さんたちは、そのような遺伝子を持っていても、100キロ超の体重になることができたわけだから(それでも明らかにG型のヒトの平均よりはかなり軽かった)、安心できるわけではない。


論文を全部読んだわけではないので、ひょっとしたらどこかに書かれているかもしれないが、単に食事だけではなかなか太らないヒトが、100キロになる原因こそが欧米の肥満社会の病巣なのではないのだろうか? 臨床試験はスペインで行われているので、具体的にはスペインの、ということになるけれども。


著者らは、これはスペインの特定のエスニック集団における結果なので、他の国やエスニックのことはわからないと語っている。


さて、日本では?


タイトルにあるプリン(PLIN)というのは著者らが、論文の中で、ペリリピン・ローカスのことをそう呼んでいるところからとった。ペリリピン・ローカスというのは調節遺伝子ではなくて、たんぱく質ペリリピンを作り出す遺伝子。つまりG>Aの変異は、機能が優れているか劣っているかあるいはまったく働かないペリリピンを作り出していると考えられる。


ペリリピンがなにをしているのかはまったくわかっていない……


2005年12月09日

寝る子は育つ



メドラインプラスの記事によると、子供は1日12-15時間眠るのが良いそうだ。でも生理学的な根拠はよくわからないらしい。


実際に子供の睡眠を観察した結果、そのような結論に達したとのこと。


論文は、『睡眠』に掲載。


2005年12月13日

さむい



まるでドイツで暮らしていた時のように寒い。ここ何年か、こんなに寒く感じたことはなかった。というか、東京の寒さはもっと違う感覚だった。ただ屋外に立っているだけで、身体が芯から冷えてくるほど寒い冬は久しぶりのような気がする。


夜中に原稿を書くのも寒いので、暖かくなるまでちょっとパス。


2005年12月14日

食物繊維をたくさん摂取しても結腸直腸がんのリスクは変わらない



食事: 食物繊維をたくさん摂取しても結腸直腸がんのリスクは変わらない


EurekAlert より:




13の前向きコホート研究のデータを解析しなおした論文。データは、725,628人の男女を6年から20年にわたって追跡した結果で構成される。そのうちの8,081人が結腸直腸がんと診断された。食物繊維の摂取は、たしかにがんのリスクを下げるのに役立っているように見えたのだが、他の食事因子(葉酸、赤身肉、乳製品、アルコール)などの影響を取り除いていくと、最終的に食物繊維の摂取はがんの発症に対して有意ではないが弱い正の相関性をもっていることが明らかになったという。つまりリスクを上げるということだ。記事には書かれていないが、これは食物繊維のサプリメントを飲むのは良いとはいえないが、通常の食事として食物繊維を多く摂るならば、結果的にがんのリスクを下げることが期待できるということではないだろうか?




出典は『米国医学会誌


2005年12月15日

魚の摂取は高齢者の脳を鋭くしておく手助けをします



食事: MedlinePlus: 魚の摂取は高齢者の脳を鋭くしておく手助けをします



MEDLINEplus より:




週一回以上魚を食べる高齢者は、同年代の他の人に比べて脳神経機能が三歳も若い状態だという。日本では食べない人を見つけるほうが難しいでしょうから、みんな三歳若いってことで。




出典は『神経学アーカイブス


2005年12月19日

あたしコーヒー、飲・み・た・い・のー!



メドラインプラスの記事によれば妊娠してもコーヒーの消費を減らせない女性は、アルコール中毒の家族歴とカフェイン依存症を共に持っている傾向があるという。


精神医学の雑誌だから、割り引かないといけないかもしれないけれど。


まず、44人の妊婦を対象にした研究である。わたしが小学生の頃は一クラスが45人だった。あのときはもちろん男女半々だったが、それが全部妊娠している女性だというだけのことだ。いったいどんな風にすれば一般論を引き出せるのだろうか?


コーヒーというか、カフェインには妊娠に悪い影響を及ぼす可能性があると書きながら、妊娠の経過(実際に悪かったのかどうか)については書かれていないようだが、それは当たり前の話で、たった44人の妊婦のデータでは、論文にはなりえないからだ。


でも精神医学ならなるんだよね。実際こうして出版されている。


もちろん、効果を測る時に必要な検体数というのは、効果の大きさによって異なってくる。パワーと呼ばれるものだ。カフェインと妊娠の予後については、この程度の検体数では明らかにパワー不足なのだが、コーヒーの消費量には充分だということなのだろうか?


それともこれは質的研究なので検体数は関係ないのだろうか?


どうしてもカフェインを断ち切れないのは生まれがそうさせるのだとか。やめたいのにやめられないそうだ。それで一日三杯もコーヒーを飲んでしまうという。


論文の要約に、こういう妊婦らは薬物にはまりやすい可能性があるので注意が必要と結論されている。はあ。


出典は『米国精神医学雑誌』。


2005年12月20日

プロポリスとアリストテレス



プロポリス(蜂蝋)は、西洋では古い歴史をもつ民間薬のひとつである。ギリシャ時代の哲学者アリストテレスは同時に自然科学者としても著明な業績を残しているが、その著書のひとつ『動物誌』でミツバチの生態を詳しく述べるなかで、蜂蝋(ただしプロポリスという言葉は使われていないようだ)を切り傷や腫れ物の治療に軟膏として使うらしい記述が見られる。飲み薬ではないようだが、薬には違いない。


ミツバチの記述が極めて詳しいのは、この時代にすでにギリシャには養蜂家が存在したかららしい。彼らは、蜂蝋のことをコンモーシスと呼ぶ、とアリストテレスは書いている。


検索すると、多くのサイトで、アリストテレスがプロポリスの命名者(またはすでにその当時そう呼ばれていた)かのように書かれているが、実際にそうだったかどうかを示す証拠は見つけられなかった。蜂蝋は部分によって、ミティスとかピッソケーロスとも呼ばれていたようだ(これもアリストテレスの前掲書)。


英語のサイトでも、プロポリス(propolis)は、ギリシャ語で前を意味するプロ(前向き研究を意味する英語プロスペクティブのプロと同じ)と都市を意味するポリス(メトロポリスのポリス、て説明するまでもないか)の合成語で、アリストテレスが名づけ親のように書いている(日本語サイトは多分その受け売りの可能性大)。


どれも健康食品販売サイトか、養蜂業者のサイトのようだ。せめて文献を引用してくれると助かるのだが、恐らくほとんどのサイトは単に他のサイトを引用しただけだろう。


『ナチュラル・メディシン・コンプレヘンシブ・データベース』という、HFNETでも頻繁に引用されている米国の健康食品データベースでさえ、引用元が某販売サイトになっているのには笑ってしまった。


(英語なら)ペンギンだってロエブだって(後者はしかも原文対照訳だ)あるのだし(日本語でも『動物誌』は岩波文庫、それ以外の自然科学系の著作は岩波から全集が出ている)。


名前の由来はともかくとして。


プロポリスを飲用するようになったのがいつ頃からなのかは知らない。アルコール抽出液を飲むのは、もともと蜜蝋というように蝋なので軟膏にはできても飲むことはできなかったからだろう。おそらく食べることはもっと困難だったのではないだろうか(見たことがないので推測でしかないが)。梅酒のようにプロポリスをつけたのが始まりというのは、いま思いついただけの空想だが、古くから知られているものなので、あってもおかしくないと思う。


アリストテレスのことを知るまで(ということは二、三日前まで)、プロポリスというのはブラジルのインディオの民間薬に由来するのだと勝手に信じていたが、そうでないならプロポリスの採取地がブラジルであることを宣伝する理由がないので、アリストテレスも書いたけど、今の形はブラジルが原型という図式なのかもしれない。


まさか、あのアガリクスのように、ブラジルのインディオの食用キノコがいつのまにかがんの特効薬に、米国人研究者の手で祭り上げられてしまったようなことはないと思いたいけど。


プロポリスは、その由来からして当たり前ではある(花粉が多く含まれる)のだが、アレルギーの報告が極めて多い。それ以外の副作用はほとんどないというのは本当かもしれないが、アリストテレスが記述していようが、インディオの秘薬(かどうかは知らない。筆者の勝手な推測)であろうが、そもそも何かに効くという(科学的な)根拠があって使われ始めたわけでないのは、アリストテレス以前からあるのだから明らかだ(ちなみに、アリストテレスは、重いものは軽いものより速く落ちると書いているし、女性は尿道口より前に穴があってそれを覆うように鼻のようなものがあってなどとわけのわからないことも書いている。自然科学者として偉大ではあっても、それはプトレマイオスがそうである程度でしかない)。


健康食品には、違法医薬品を添加した中国製保健食品(まともなものもたくさんありますが、素人では区別できないというか、だれにもわからない)からヨーロッパの民間薬まで、様々なレベルの製品が混在している。


アガリクスは、生活習慣病が少ないインディオが常食していたからいつのまにかがんの特効薬にまでなった。プロポリスがそうならないのは、シイタケがそこまでいかないのと同様の理由なのかもしれない。


もちろんシイタケというのは、あの椎茸である。英語の論文だけ読んでいるとアガリクスより椎茸のほうが効きそうな気がするほどだが、日本人のだれが、がんの特効薬シイタケなんて信じるだろう?


プロポリスはアリストテレスの昔から使われているのだから、(ヨーロッパの人間には)さらに幻想(妄想?)は少なくなる勘定だ。


というわけで、健康食品の効能を語りたがるヒトには、まずシイタケと大豆の奇跡の効能を話すことにしている。ワカメと蒟蒻を加えても良い。世界一長寿で、健康寿命もそうであるなら、それらは食品としてのアプローチとして充分な魅力を備えている。


でも、国内の健康食品業者には、魅力はないというに過ぎない。普通に生活しているのが、日本人には一番長生きできる秘訣だというのは、絶対に言ってはいけないタブーだったりして。


2005年12月21日

ラクトフェリンと免疫ねえ



ラクトフェリンというのはその名の通り、母乳に多く含まれる強い鉄結合能を有する分子量8万の糖たんぱく質である。母乳だけでなく、涙や唾液など(もちろん血液中にも)にも含まれていて、動物の特に粘膜を細菌やウイルスから防御する役目をはたしていると考えられている。


精液にも含まれるし、膣分泌液にも含まれる。感染防御という意味では、いかにもありそうなことである。


母乳に多く含まれる理由は、乳児を感染症から守るためだという説明は、同じようにもっともらしい。でも証明するのは難しいだろう。母乳には他にも免疫グロブリンAのような免疫物質が多く含まれているからだ。


それよりは、母乳中の鉄は大部分がラクトフェリンと結合しており、乳児に鉄分を補給するというほうがより重要な役割のような気がするが、違うだろうか?


まあ、乳児はサプリメントを飲むのではなくて、母乳を飲むのだから、実際に何がどう効くのでもかまわないといえばかまわないのだけれど。


さて、ヒトの身体の中に存在し、涙、唾液、滑液、精液、さらには小腸壁などにも分泌されるらしいこのたんぱく質、老化によって低下するわけでもなさそうなこのたんぱく質を、サプリメントとして飲むおとなのために、われわれはどのような理由を提供すれば良いだろう?


最近では、骨を作るために必要という文献もある。安全性が高い上にウシ由来のラクトフェリンはいくらでも調製できるので、健康食品業界の期待の星という説もある。


ただし、ウシのラクトフェリンはヒトのラクトフェリン受容体と結合できないので、人工乳に添加しても鉄の吸収はよくならないらしい。そうなるとウシ由来のものには免疫でぜひがんばってもらいたいと思うのも人情かもしれない。…じゃなくて、あきんど根性というもの、かもしれない。


個人的にはプロポリスは絶対に飲みたくないが、ラクトフェリンならかまわない気がする。お母さんのおっぱいを飲んだことのあるヒトなら、かならず飲んだことがあるわけだし、そもそも唾液には同じものが含まれているわけなのだから。とはいえ、自分から積極的に飲むことは他の健康食品でもそうだが、この先も当分ないだろうと思う。


2005年12月25日

グリューヴァイナハテン、ヘル・ロレンツ



戦場のメリークリスマスのキメ台詞をドイツ語でいえばそうなるが、あまり意味はない。デヴィッド・ボウイは、イギリス人だし、第二次大戦中、ドイツと日本は同盟国だった。捕虜になるはずもない。


25日はもちろんクリスマスだが、ドイツではこのあとは31日の大晦日、ジルベスターまでなにもない単なる休暇(クリスマス休暇)だが、イギリスでは、26日はボクシング・デイがあって、これはすべての使用人のための休日である。よくは知らないのだが、実際に23日〜27日まで滞在した(27日までにしたのは、特に意味はなかったが正解だった。というのは26日だったらホテルを出てもどこにもいけなかったからだ)結果、12月26日の威力を思い知った、というわけだ。


ドイツでクリスマスシーズンを何度か過ごしたことがあるけれども、ドイツでは上記のように26日以後は大した催しがない(地域によって1月6日の十二夜、シェイクスピアの戯曲の題名にもなっているあれ、はあるがあとはカルナヴァルまでなにもない。大晦日と元旦は祝うが日本とはくらぶべくもない。とりあえず休日という感じだけである)。


その年も、クリスマスシーズンをドイツで過ごすべく出かけたのだが、その途中のクリスマス休暇に、機関車トーマス(といっても単にあの顔が機関車の先頭にぶら下がっているだけで、ウチの子は、ひょっとして本物のトーマスに会えると期待していたらしく、本物のトーマスがいるかと思っていた、と消沈して話していたのを思い出す。親としては申し訳ないけど、しかたないことである。でもそのときサンタさんにもらったプレゼントには喜んでいたと思う。それはサンタさんから直接貰う最初の経験だったから。でも、その滞在でその後、二人の(多分)別のサンタさんにあってプレゼントを貰った時はわからない。イギリスに、サンタさんに実際にあってプレゼントを貰う催しが各地にあることはわたしも知らなかった。子供が、トーマスのようにサンタも虚偽だと悟ったのか、それともサンタさんは複数いると思ったのか、今に至るまで直接聞いた事はない。それはともかく…)に乗るべく、バーミンガムへと出かけたのだった。


バーミンガムの印象といえば、なぜかドイツのたとえばケルンやデュッセルドルフを思わせる街並みはけっこう印象的だった。ただ、周辺の黒人とアジア人の住む地域は、実際にトーマスに乗りにでかけて、それしか帰る手段がなかったバスに乗らなかったら気が付かなかったかもしれない。日本ではまず見かけることのない低所得者層の居住地域に嫌でも気付かされて、イギリスがいまでも貴族がいる社会であることを意識せざるを得なかった。ドイツ、イタリアのホテルの清掃係は廊下ですれ違うと陽気に挨拶をするが、イギリスでは俯き加減に黙って通りすぎる(気のせいだろうか)。


それはともかく、クリスマスである。


ドイツでは、クリスマスだろうとそれ以外の祝日だろうと、ドイッチェバーン(ドイツのJR)の駅はかならず営業していた。イギリスもそうだろうと単純に考えていたが、それがとんでもない間違いだった。


おおかたの旅行ガイドには書かれていると思うので賢明な読者諸姉はご存知のことと思うが、イギリスではクリスマス・シーズンの23日から27日あたりは別料金で普段の2割増になる。中には宿泊できないホテルも多い。メイドさんたちが働かないからだ。


イギリス人としては、クリスマスとそれに続くボクシング・デイというのは、多分日本の大晦日と正月のようなところが多分にある。最近でこそ日本でも元旦から営業というのは珍しくなくなったが、二、三十年前には、三が日を終えないとお年玉の使い道もないのが一般的だった。


そんな事情を知らずに予約のできるホテルを探し、実際にバーミンガムに滞在した結果、日毎に食事さえままならない状況になり、昼食と夕食はルーム・サービスのサンドイッチを頼まなければならなくなった。というかルーム・サービスはサンドイッチとコーヒー、紅茶だけになってしまった。それでも朝食はついていたが、ルーム・サービスと同じで食堂にいってもパンとバター以外にはたいして期待できないメニューになってしまっていた。


ホテル以外の店は、レストランでさえ、みな閉まっていた。


なによりも閉口したのは、駅までもがシャッターを下ろしていたことである。これは日本ではおろか、ドイツでもあり得なかった事態だった。


考えるまでもなく、電車の運転手や車掌が労働者中重要なポジションを占めているのは最近のニューヨークの地下鉄ストの例もあって一目瞭然、少し年長者なら国鉄や私鉄のストが記憶にあるはずだ。ボクシング・デイならば休んで当然なのである。


おかげで本当の休日を過ごせた(周辺を歩く以外にすることがなかった)なんていうのは、単なる皮肉である。26日は、食糧の調達さえ困難になり、フロントの女性と黒人男性(やはりそういうところにしわ寄せがいく。白人男性はいないのだ)が、いろいろ調べてくれたが、ピッツアの配達も休みで、確かマクドナルドに出かけたような気がする。が、記憶が曖昧だ。


わたしたちのような極東の田舎者にとっては、そんなときなぜかマクドナルドが強い見方になってくれる。好き嫌いではなく、現実としてそうなのだ。その時も、26日だったかどうかは忘れたが、一回はマクドナルドのお世話になった。もう一回はピザハットだった。ピザハットには、プラハでもお世話になっている。


クリスマスの当日を欧州で過ごしたのは2回だけだから、そんなに正確な情報を把握しているとはとてもいえないが、イギリスに旅行するのだけは避けるのが無難だというのが正直なところ。その後留学や出張で何年もイギリスに滞在した複数のかたからも、同様の意見をいただいた。


蛇足だけど、それは元日に成田空港に降り立つ外人さんといっしょだと思えば、なんとなくわかる気がする。不況のためか、最近は元日から営業するデパートも多いが、昔はやはりマクドナルドかケンタッキーくらいしか営業していなかったのではないかと思う。記憶は曖昧だが…


2005年12月26日

科学的根拠、ねえ…(´ヘ`;)ハァ



独立行政法人になったといっても、国立健康・栄養研究所は厚生労働省からの予算で運営されている国家機関である。


でもインターネットだと、どうも読み手の側にあるインターネットへの不信感からか情報に対する信頼性がイマイチなようで、そこにつけこんで(かどうかは知らないが)、民間の医師グループが科学的根拠に基いた情報を出版したりする。本のほうがネットよりも信頼が得られやすいからだ。


そこで、さっそく取り寄せて読んではみたが、HFNETの情報を読んでいるほうが絶対に良いといえる程度のレベルのものだった。引用文献が一般読者にとってどれほどの障害になるのか、想像できないでもない(わたしも文献だらけの文科系の専門書は、信頼はできても買うことは躊躇することが多いので)が、それでは科学的根拠のほとんどを無意味なものにしてはいないだろうか? 著者が医師であるというような根拠こそEBMが真っ先に疑ってかからなければいけないはずなのに。だから、HFNETへの信頼性の疑義は、HFNETの正当性の現われなのだ、とまで言ったら冗談にしかならないが。


とりあえず、出した者勝ち? ところが、いくつかの項目は勉強不足だし、そうでなければ、スポンサーがいるのかといわれかねないくらい大盤振る舞いしているように感じる項目もある。別にいてもかまわないのだが。後書きを読むと、こんなものを飲むくらいなら野菜と果物を摂ったほうが全然ましだと断言しているので、立場を異にしているわけではない。だったらそれを本のオビに書いたら良いじゃない? とは思ったけど。


そんなことをしたら、正直ではあっても、肝心の売上が伸びないわけですね。


HFNETでは記憶する限り、そこまで露骨に健康食品を差別していない。買いたいヒトにとって、間違いをできるだけ少なくしたいという思いであふれている。野菜や果物の摂取ががんに効いたというたくさんある疫学調査などにはふれずに、オタク心を害さないように心がけてでもいるようだ。


ただ、栄養学的には難しい問題が、そこにはある。


抽出された成分のカプセル錠(ビタミンでもカロテンでも)を飲むのと野菜や果物をを摂取するのでは、前者は飲んだ量がかなり正確に把握できるが後者は推定でしかないという問題と、前者(カプセル)は医薬品のように精製された成分既知の物質の摂取であるが、後者(野菜と果物)は何が有効なのかを知るのが難しい。


後者の例として、最近食物繊維は大腸がんにも予防効果がないという論文が出た。それまでは、他のがんにはダメだが大腸がんにだけは、と一縷の望みを託された状態だったのだ。


この論文を読むと、年齢性別などの因子の影響を除いたあとでも、食物繊維は確かに効果がある。だから従来の論文では効果ありと見なされていたわけだが、問題はその後で、食物繊維は野菜や果物に多いので、野菜や果物に含まれる抗がん物質(と思われる因子)の影響を除いていったところ、食物繊維単独では効果がないという結論に至ってしまった。


結局、野菜や果物を食べるしかないという結論にしかならないのだが、「野菜」も「果物」も色々な種類があるのは明らかなので、ほんとうにそんな漠然とした答しかないのか、ということになる。


人間の集団自体が多様性を内包しているので、それも充分にありそうな解ではあるが、そうなると年齢性別別に最適解をだしてほしいということになって、でもそこまでいくと、聞き取りによる食事調査のような方法ではもうお手上げということなのだろう。だからといってすべての食事を何年にもわたって正確に記録するなんて、何万人の被験者相手には不可能だ。


でも野菜にもより効果の高い野菜があっても少しもおかしくない。効果が高いのならそれは単一の成分なのか複数の成分なのか、ホメオパシーでないなら、何らかの実体があるはずだ。ではそれを抽出精製したものはなぜ効かないのか? 極めて多くの物質の混合物(つまりまるのままの野菜)でないと効かないというのなら、その理由が説明できなければならない。できないのなら精製したものでも良いはずだ。明らかに根拠という意味では未知の領域が存在しているに違いない。


そして、健康食品というのは、その混沌とした領域に存在している。それでいろいろな考え方が並立することになる。


整理してみよう。



  1. 野菜と果物を多く摂取するヒトはがんになりにくいようだ

  2. それが交絡因子と専門的には言うのかしら、要するに野菜や果物の摂取と一緒に動くほかの因子のためではないと仮定して

  3. 野菜や果物にはがんを抑える物質が含まれている

  4. 単独または複数で有効なその(それらの)物質は、野菜や果物に含まれる程度の微量で有効である

  5. 実際に抽出精製された、がん細胞の増殖を抑制する物質が多数存在する


ということは、



  1. 単独あるいは複数の有効成分を的確に精製したカプセルは有効である可能性がある


ホロンのような分解したら生物ではないという立場(科学的には異端と断言してもいい)ではない、通常の還元論の立場に立つならば、そのような結論しか出てこないのではないか。


もちろん最近の否定的な論文やその他の実験において、抽出物(特に脂溶性のもの)は抽出の過程で化学変化を受ける可能性が高い(遊離酸が塩になったりといった)ので、自然の状態のものに比べて効果が低い、というか吸収が悪くなるという報告がなされているので、そういうことはクリアした上でのことではあるのだが。


実際、ナトリウム塩とカリウム塩では効果が異なるような例はいくらでもあるので、健康食品にも充分にありそうな話ではある。ではその具体的な解決法、どころか現実さえ把握していないのだから、その信頼性はかなり低くなるということは言ってもいいかもしれない。


野菜や果物に含まれている真の有効成分を、野菜や果物に含まれているそのままの状態でカプセル錠にして、効果を検証できればいいのだが、それができないことをどう考えるかで、けっこう立場が分裂しているかもしれないとも思う。だれだってそのままに抽出したいと思うわけだから。


でもさ、どうでもいいけど、どちらも少しだけ欺瞞チックになってない?


2005年12月31日

この一年



 しかし、一年366日はあっという間ではあっても、いろいろな事件とも呼べるような出来事もあり、思い出し始めると切りがないという気もする。


 サイトでの事件といえば、ずっと約束していた『重ねるとカロリー』サンドイッチ篇、お昼なに食べる篇を、2004年の12月には一応完成していたにもかかわらず、その後の様々な事情によって、結局公開しなかったのが、いちばんの心残りだ。


 これは2006年の3月までにはかならず公開して利用できるようにします。ひょっとしたら年明け早々にするかもしれない。現行の食事摂取基準に合っていないだけで、教育ツールとしては本質的な問題があるわけでもないし。


 生活習慣改善のための自己学習システムも、完全な公開を果たせずにいる(新システムを一度は公開した。技術的にはどうということはないが、コンテンツ・マネージメント・システム(CMS)という最近のウェブの流れにそった、個人的には可能性を秘めた面白い試みだと思っている。国会図書館や情報学研究所のような情報のプロのサイトよりもうちのほうが数ヶ月早い。所詮流用に過ぎないけど)。果たし切れなかったのは、サイトの混乱の原因にもなった、開発会社の支離滅裂な申し入れのせいだ(といっても、そんな既知外のたわ言におろおろしてしまう自分もつくづく情けないと思う)。ただ、件の開発会社がパニくってしまうのもわからないでもないので、そのまま公開することはできないと思う(秘密裏にネットで実証実験をしているけど、攻撃対象にされないようにURLは非公開)。


 Flashを使って自己学習システムの一部は自由に使えるようにしたが、その後開発が止まっている(これの開発はすべてわたしひとりでやっているので、ひとえにわたしの怠慢ではある)。


 『きっずぺーじ』も長らくアナウンスされながら実現されていないものだが、これだけは、実は鋭意準備中ということにしておこう。というか、これだけを実現するために他のものが止まっているというのが嘘偽わらざる事実である。


 ネガティブなことばかり言って申し訳ない。


 実際に実現したことでいえば、EBISのページを立ち上げたし、リンクDEダイエットも日々マイナーチェンジを繰り返している。クラッキングなどの影響で、HATENAにページを作ることにもなったし(このページのこと。もっともこれは好きでやってるわけではない)、自己学習システムも独自ドメインを取得して外部のサーバで運用を再開しているのは、上に書いた通り。


 この一年が、全体としてネガティブであることをわたし自身否定できないが、こういう年もアリ、で人生は過ぎて行くのかとも思う。


 もっとも、インターネットでは、ということだ。それが実は一番の元凶だったりして(^^;


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2005年12月にブログ「新・サラダの日々」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

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