などと、題名だけはものものしくても、現実には、マーケティングをしているわけでもないので、はなはだ怪しいことだけは、はじめにお断りしておく。
この数年の間に、ビタミンのサプリメントは、大規模調査の結果を踏まえて、なかなか効果が見えにくいことが露見してしまった、と思しい。効果がないかどうかがわかったわけではないし、動物実験では効果は確かにあるらしいので、サプリメント以外にも生の野菜や炒めた野菜や茹でた野菜を食べる機会の多い人間を対象にすると、効果が見えにくくなるというか、少なくとも有意差という統計学的な指標での差異がでないということだ。
ビタミンに関しては、そちらの専門家がもっと精細な議論をこれからもしてくれるだろう。
で、他のサプリメントは、ということになるが、アガリクスのようなキノコ類に関しては、過去も現在も、一度として人間、特にがん患者が服用して効果があったという報告はしていないはずだ。科学論文としてはということだが。
もともとインディオが食べていた、けれども欧米や日本の食生活には馴染まないのかどうか、実際に食べたことがないので判断できないキノコの効能が、シイタケ(これは日本人は美味しいと思って良く食べる)と少なく見積もっても同程度の効果しかないということが、PubMedのような医学文献のデータベースからは伺える。日本人もインディオも英語が苦手だと仮定して、だからPubMedの文献が少ないという仮定もできなくはない。
他のキノコ、例えばマイタケの有功成分についての論文は確かにPubMedにも登録されているが、マイタケを食べた効果を調べたわけでないのは要約を読んだらすぐにわかることだ。
キノコは、もともとエネルギー源としては役に立たないが、日本人はシイタケもマツタケも好き(アガリクスの日本名はヒメマツタケだ)なので、これが健康に良いとなればそこそこ売れるだろうということは、だれでも考えるだろう。考えること自体はいつでも有益なことだし、それが科学の発展要因でもあるが、証明できなければ無意味である。
クロレラやスピルリナは、現地住民の食用だったとしても、他に食べるものがなければ食べたいとは思わないたぐいの藻類で、これもアガリクス同様、それを食べていた人間ががんに効くと思っていたかはかなり怪しい。それは外国ではほとんど飲まれない緑茶もそうだ。
プロポリスにいたっては、古来食用に供されたという文献は極めて少なく、もっぱら外用薬の扱いだった。
というわけで、この数年は、もっぱらもともと体内に存在する補酵素の類がクローズアップされている。
αリポ酸、CoQ10、カルニチンである。ビタミンのようにヒトが合成することができない物質ではないので、もっぱら老化によって欠乏するということになっているが、そのこと自体どの程度の信憑性があるのかも疑わしい。合成が低下するのは事実としても、老化によって合成が少なくなるものなら他にもたくさんありそうである。
ビタミンの場合にはもともと野菜を食べることで補っていたと考えられるので、食事で摂取することは自然だが、これらの補酵素の場合は、食事がどのていどの役割を担っていたかも、実はよくわかっていない。足りない分は体内の合成を高めるしかないのかもしれないが、そこまではっきり断言する論文も見たことはない。
さらに、ラクトフェリンという母乳に含まれている物質がある。乳児には意味があるかもしれないが、この物質は、普通のヒトならだれでも、唾液中に分泌しているものである。尿中にもあるし、それでも足りないのなら、精液中にも、膣分泌液にも含まれている。それが本当に免疫的な機能を果たしているのかどうかは文献に譲るとしても、それらが老化によって欠乏するとは誰も言っていないし、証明はもちろん存在しない。
乳児が腸管で役立てているというのが事実なら、それを期待するのも無意味ではないかもしれないが、そのまえに、ヒトは、その腸管にもラクトフェリンを分泌している事実は承知しておく必要がある。理屈としては、足りないものを補うという感覚なのだろう。ビタミンも同様である。それが有功に作用するかどうかは、その足りなさ加減にかかわるので、なかなか証明しにくいのも事実である。上に書いた補酵素も事情は似ている。
まいにち1時間の散歩をすることが健康増進に役立つとして(これは論文がいくつもある)、健康食品を摂取することも同じように役立つと考えるかどうかは、難しい問題だ。
論文がないことは、単にその証明が難しいことしか意味しないかもしれない。つまり本当は(あるいは服用している本人には)、効果があるのかもしれない。
誤解してほしくないのは、確かにここに書いた食品(と云えるならばだが)に健康効果がないとはいえないのが実情だが、他のものと同様に、むやみにたくさん食べたら、効果どころか害になるというのは間違いなく真実である。
塩は300グラム、砂糖は1キログラム、どんなものでも食べすぎれば死ぬ危険性を秘めている。医薬品は云うまでもない。運動だって同じことだ。
健康食品のことばかり悪く云うようには思わないでもらいたいものだ。がんの特効薬のように喧伝されているとしても、医薬品でないなら、あるいは医薬品であるならなおさらのこと、多く飲めばいいわけでないことは、明らかなのだから(医薬品でなければ、安全性を個人で判断しなければならないし、上に書いたようにどんなものでも大量摂取は危険が伴う。医薬品なら、安全性について検証されているので摂取上限量は決まっているはずだし、医薬品には明らかな疾病治癒または予防効果があるという人体への影響が明らかなので、そのような「強い」効果には副作用もまた無視できないというのが用量作用曲線が当てはまる限りにおいては当然予想されるからである)。