« 2006年07月 | メイン | 2006年09月 »

2006年08月 アーカイブ

2006年08月04日

高原へいらっしゃい




ゆうべ見た夢の中で 


僕は空を飛んでいた 


小川の上を落っこちまいと        


あひるみたいにはばたいた


 


夜の心の暗闇から夢はわいてくる   


誰もそれを止められない         


そしてお早うの朝はくる                   


(谷川俊太郎 「お早うの朝」)



 昔見たTVドラマは、なぜかけっこうさわやかな印象だった記憶があるのだが、舞台背景を考えると(それしか覚えていないのだ)そんなに明るい話だったはずもない。谷川俊太郎の歌詞がこの物語のために特に書かれたのかどうかわからないが、それでも朝は来るんだという希望というよりは期待、現実には朝なんか来ない人間は一杯いるのに、無理やり天体現象に重ね合わせてしまおうという、深読みしすぎかもしれないが、そんな歌詞と小室等の曲がとてもよく合っていた。


 ネットを探してみたら、歌詞全文を引用してあるブログを見つけた。実はドラマの記憶はほとんど残っていない。田宮二郎がロビーのようなところでベスト姿(だったと思う)で決意を表明している姿だけがおぼろげながら思い出されるだけで、つぶれそうな高原のホテルの建て直しが成功したのかどうかも覚えていない。画面のキャプチャ入りで紹介しているサイトも見つけた。ということは結構反響があったのかもしれない。リメイクされているようだし。実は、山田太一原作だということもいままで知らなかった。


 小室等は、ソロで谷川俊太郎が全ての歌詞を書いたLPを出していたはずで、「お早うの朝」も含まれている。アマゾンで検索したら、それは『いま生きているということ』だと思い出した。収録曲のリストを眺めていたらメロディも歌詞も思い出してきた。


クックロビン




片岡に露みちて、揚雲雀なのりいで、蝸牛枝に這ひ、


(ロバアト・ブラウニング、上田敏訳「春の朝」)



 すべて世は事も無し なのである。


 なわけないじゃん。裏では生徒は死ぬは、昔イジメを苦に自殺した生徒の死体が川から上がるは、もうむちゃくちゃな状況で、エドガーもアランもイギリスに逃げ帰ろうとしているところなのだ(『小鳥の巣』参照)。


 今夜はやたらにパトカーのサイレンが喧しい。たまたまだろう。事も無しの世界なのだから。



恋もなく恨もなきに/わが心かくもかなし


(ヴェルレーヌ、堀口大学訳「雨の巷に」)



 上の世代は、恋もなくて恨みもなくて悲しいのはぜったい変だと思う気がするかもしれない。下の世代には、まるきり逆に、理由のない悲しみは当たり前だと受け止められるように思う。


 もちろん本当になにも原因がないのに悲しいというのであれば、医者にいくのが良いに決まってる。ヴェルレーヌは本当の理由を語らないだけだ。恋でもなく恨みでもないというのだって、どこまで本当なのか。


 所詮これは単なる詩なのだから、真実なんてかけらも必要ないのだが。


「そしてお早うの朝はくる」


2006年08月05日

トランス脂肪酸、再び



 ハーバード大学のウィレット教授のように、女性に心臓病を起こす度合いにおいて、トランス脂肪酸は飽和脂肪酸より何倍も強いと主張するする一派もいるが、実際に分析してみるとトランス脂肪酸含量は、ばらつきが極めて大きかったと主張する論文もある。製造者としては、トランス脂肪酸は入っていて欲しくない不純物に分類されるだろうから、含量が一定しないというのもありそうな話ではある。化合物の化学合成をやったことがあれば、微妙なさじ加減があることは明らかなので、製造工場ごとに異なっていても少しも不思議ではない。というかありえないことではない。


 さて、ウィレット教授のような疫学者が、過去20年にわたって看護婦のトランス脂肪酸含量を推定する場合(食べたもの全てをガスクロなどで分析するのでない限り推定にしかならない)に、このばらつきがどのくらい影響するかということが問題になる。


 疫学者は、ベータカロテンにがん予防効果があるとして、喫煙者にサプリメントの形で摂取させて、かえって発がん率を高めた(調査は直ちに中止された)という前歴もあるし、そもそもがんの原因の30%は食事だという単なる意見の域をでない(原論文を読めばわかる)ものをあたかも事実のごとくに流布させた前歴もある(こちらはまだ信じているヒトも多いだろう)。もちろん正確さに欠ける言い方であることは認めるが、でたらめというわけでもない。


 90年代以降、サプリメントとしてのビタミンEには顕著な効果が見られたためしが(あまり)なくて、それを疫学者はなんども主張しているにもかかわらず、いまだにビタミンEのサプリメントは効果があることになっているという逆の面もある。ベータカロテン、ビタミンC、そしてビタミンEの大規模疫学研究は、おおむね効果が見られないという方向では一致しているといえるのに。これも正確さに欠けることは認めるが。


 結局、科学者は理論的な根拠を詳細に提示するだけで、だからこうしたほうが「良い」とか「悪い」とかは科学の仕事ではないし、現実たいした影響力を持ち得ないということではないのだろうか。これはウェーバーが社会科学の方法として主張したとおりである。将来的には可能になるのかもしれないが、いまのところ、良い悪いというような価値判断は、個人や組織が各々くだすものであって、科学が論理的に結論を導くことはありえない。


 ウィレットにしたところで、だからトランス脂肪酸の摂取は控える「べき」とはいえるが、控えた方が「良い」とはいえない道理なのである。「べき」なのは、そうすれば心臓病などになる確率が減るだろうからだ。病人を減らすことは医学の目標のひとつであって、その価値まで否定してしまうと、医学研究そのものが成り立たなくなってしまう。


 しかし、それが「良い」かどうかというのは、価値判断である。極端なはなし、早く死んで欲しい人間に、トランス脂肪酸の摂取を控えるように忠告するのは、だれにとって「良い」ことなのか。


 最初から話題がぜんぜん違う方にそれてしまったが、トランス脂肪酸の害とマーガリンの害を区別しなければいけないと言うと、なぜか生理的な反発が起こってしまうのは何故だろうかと考えていたのである。


 牛乳を飲むヒトも多いだろうし、牛肉を食べるヒトもたくさんいるはずだ。みんなトランス脂肪酸を食べている。マーガリンを食べなくてもトランス脂肪酸を食べている。べつにトランスだろうがシスだろうがあまり関係ないように見える。でも、それがマーガリンだと嫌なんですね。


 不可解なのは、マーガリンを嫌いだといえばすむのに、別の理由を持ち出すことだ。いや、不可解でもなんでもないかもしれない。単にユダヤ人が嫌いなのに、どうしてユダヤ人を排斥しなければならないのか言い訳しないと気がすまないのが人間らしいから。


 嫌いとか、悪いとかは、このさきもできるだけ判断材料にはしないようにしたい。もちろん、好きも良いも不可。EBMも、エビデンスの「質」などという価値判断は、もうEの範疇ではなくてMの領域なのは明らかである。せめてそれはもうEではないことくらいははっきりさせておく必要があるだろう。再現性とか確度というような言い方をすればすむことなのに、それを「質」というのはあまりにも見え透いている。


2006年08月22日

えいよう・こみゅーん再開しました



えいよう・みゅーんを再開しましたが、もともと非公開に近かったのでほとんどご存じないですね。論文の少し詳しめの解説記事を掲載していて、その部分だけはアクセスがありましたが、もうあまりサイト全体がどうとかいう時代ではなくなっていたので、記事だけ読んで去っていくパターンが多かったようです。


特に一般ユーザのアクセスは想定してなかったし。


今回も、基本的に栄養士さんが対象です。おそらく一般ユーザの方は、登録してもぜんぜん面白いものがないでしょう。


2006年08月23日

それでもGoogleで採取されている

こんなに、たった一度だけハテナの日記からリンクを張っただけのサイトでも、Googleで検索できるので、あとはそれがいかに上位に来るか(今はほとんど最下位に近いかも)が問題ですね。

上位にきたら困るので、今のままでもちろん良いのです。

宣伝なので、えいよう・こみゅーんをよろしく。

About 2006年08月

2006年08月にブログ「新・サラダの日々」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2006年07月です。

次のアーカイブは2006年09月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.36