つい半年前には、マーガリンよりバターなどと、どこかの自称「専門家」の言を真に受けて、そのまま引用しているようなサイトだったのに、今日見つけた記事には、トランス脂肪酸は肉などにも含まれると最初にことわっていた。でも肉といっても含まれるのは牛肉が主で、反芻動物でなければあまり多くはないように思う。記事が鶏肉の話(KFC)だったので、「牛肉と違い、鶏肉にはトランス脂肪酸はほとんど含まれないが、揚げる油に入っていては意味がない」とか書けないのだろうか。本当にそうかどうかは調べてみないとわからないが、細菌類でなければトランス脂肪酸は合成しないはずだから、反芻動物との差異は大きいと思う。
随分進歩したように思って、ちょっと見直したい気持ちになったが、そもそもトランス脂肪酸が取り上げられる理由は、日本人しか食べないとか使わないという理由で捕鯨や割り箸が糾弾されるのに似ていると私自身は思っている。だからマーガリンよりバターというのは、本来的にとても正しい言い方だと思うので、中途半端な記事はかえって悪いものになってしまう。
トランス脂肪酸の悪い影響については、いまでも議論が続いており、循環器系の疾患に対して飽和脂肪酸と同じかそれより少し悪い影響を持つという認識だと思う。がんなど他の疾患についてはかなり不確かな証拠しかないのではなかったろうか。
などとえらそうに言う資格などもとより私にあるはずもない。
最近、私は、結局のところほとんどの人間というのは権威が好き、というかそれに依存して生きるのだろうと思い至った。栄養学の権威といえば、ハーバードのウィレットで、彼はトランス脂肪酸バッシングの急先鋒だが、学界全体としてはそこまで極端ではないから、権威に依存して生きる「残りの我等」的には、トランス脂肪酸も飽和脂肪酸も悪いが、どちらがより悪いのかははっきり言えない、ということだ。
自分で言い訳していれば権威にはならないという素朴な信仰が今でも栄養学を覆っている。あるいは、自分が気にしなければ権威にならないという信仰だ。
直接対面するヒトにはそうかもしれないと思うが、権威の形成過程では、大半のヒトはその権威に対面しない。まさかそんなこともわからないという無知を装うのか、それならそれで新谷先生ぶりをゆっくり堪能させてもらいたいものである。