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科学はつねに新発見をしてはいるが面白いものばかりとは限らない



 『ニュースをみるとバカになる10の理由』(ジョン・サマービル著、PHP研究所、2001)という本がある。その 第7章は「科学がつねに新発見をしていると信じる」という見出しの元、ニュースがいかに科学的発見を歪曲して伝えているかを解説している。


 研究分野にいて論文を書いたことがあるヒトなら誰でも、著者の主張にうなずく部分が多いのではないだろうか?



 だが、自分たちの業績がメディアでどのように紹介されているかを知ったら、たぶん科学者はたじろぐに違いない。なぜなら、彼らは自分の研究成果が決定的なものだとは思っていないからだ。彼らは自分の業績の報告が、残念ながらごくささやかなスケールのものであり、単純な――つまり一般的な――命題を主張するには、まだたくさんの研究が必要だということを認めている。(『ニュースをみるとバカになる10の理由』 p.143)



 多くのヒトが本書を読んでいれば、あるある現象などは起きなかったのではないかと思うほどマスメディアが報道する科学ニュースのおかしさをさまざまな局面から批判しているのだが、それが災いしてか、現在は絶版になっている。


 もっとも、バカになる理由はたった10しかないのだから、神経質になどなる必要もないし、実際には災いでもなんでもなく、単に一般読者には面白くなかったというのが絶版の理由だろう。


 たとえば、科学ニュースについて書かれた第7章など研究者にとっては当たり前の常識レベルのことしか書かれていないが、一般読者は、書かれている事柄よりもまず第一に書き手の頭を疑いそうな気がする。それほどギャップが大きい。繰り返すが、内容は研究者が普段あまり意識することもない日常生活を丁寧に解説しているだけで、どこにも誇張はない。


「そんなバカなはなしがあるか」となにも知らない読者が思っても無理はないほどにマスコミに登場する研究者は例外的な存在であるし、そもそも研究者自身が研究費を獲得するためにマスコミに加担している部分も少なくない。明らかな売名行為もときにはある。そんな裏事情は一般の読者には知る由もない。


 なるほど。


 本当のことを書いても、本当のことを理解できる人にしか読まれないというのは、なんとなく肯ける話ではある。不幸なことではあるけれど。


 私はバカになる残りの9つの理由が本当かどうかを判断できる立場にはないが、科学に関する第7章があれだけ本当なのだから、あとが全部うそ八百ということはないだろうと思う。


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2009年11月26日 00:00に投稿されたエントリーのページです。

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